2020.09.15

一般選抜における多面的・総合的評価の試み
-佐賀大学「特色加点制度」の事例紹介-


ジャーナリスト友野伸一郎の「教育見聞録」(13)

高大接続改革が停滞しても、多面的・総合的評価の重要性は消滅しない

 中央教育審議会「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)」(2014年12月22日)では、初等中等教育において育成すべき資質・能力が、学力の3要素、即ち「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」として明確化され、高大接続システム改革会議において、大学入試でもこの3要素を評価すべきと打ち出された。
 そして、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)において、英語の外部資格・検定試験の活用、記述式問題の導入が決定されたが、ご承知のように2020年度(2021年度入試)はいったん中止となり、現在、再検討に付されている。
 このような一連の流れの中で、高大接続改革そのものが棚上げされてしまったかのように受け止めている人もいるかもしれない。
 しかし、共通テストにおける英語の外部資格・検定試験の活用や記述式問題導入の技術的問題はさておき、学力の3要素を大学入試においてトータルに評価するという意義そのものは、消滅していないはずである。なぜかと言えば、こうした改革は、21世紀の知識基盤社会において通用する資質・能力の育成のために不可欠だからであり、この前提条件はますます強まりこそすれ、消滅しているわけでは全くないからである。

見えにくい資質・能力:「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価するには

 では、多面的・総合的評価とは何かについて、ここで簡単におさらいをしておきたい。
 学力の3要素のうち、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」は、他者から見えやすい、従ってペーパーテストで評価できる資質・能力である。
 しかし、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(以下、主体性等)」は他者から見えにくく、ペーパーテストでは評価が困難な資質・能力である。それを各大学は個別試験で評価しなければならない。
 そのような中で、一つの解決策を示しているのが、佐賀大学の特色加点制度の事例である。本稿では、2020年6月25日~27日にオンラインで実施された「大学入学者選抜改革WEBセミナー」(河合塾主催)における、佐賀大学アドミッションセンター長の西郡大 教授と学務部入試課の園田泰正 課長の講演から、事例を紹介する。

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